まずお母さんから一歩を


昨今少年犯罪とひとくくりにされてしまう青少年のニュ−スを聞くたびに胸がつまる思いがします。

それぞれ家庭環境も育ち方も違う彼らが、何を考え、何を感じてその様なことになってしまったのか。

色々な心理学者や犯罪学者が「周りに認めてくれる人がいなかったから」「性格的に障害があったから」など様々な原因を述べられています。そのどれもが原因なのでしょうが、その様な要因を持つこどもたちすべてが、この様な事件を起こすわけではありません。

西鉄バスジャック事件で亡くなられた方は、小学校の先生を経て、幼児期の教育の重要さを感じてご自宅で幼児教室を始められたとのことです。そのご主人様が奥様を偲びながらお話になっているのをテレビで拝見し、まさしく、その通りと痛感した言葉がありました。

「社会に出て色々なストレスに打ち勝つ精神力を幼児期に培わなければならない。その精神力は、自分で、考え、気づき、行動することから生まれる。」と。

幼稚園の子のお母様が私共の教室のドアを開けながら「先生、今日はこの子1枚多く服を着せています。もし暑そうでしたら、1枚脱がしてやってください。」と早口で、言うだけ言って帰っていかれます。その子は、「暑い」というストレスに対し、自分で、感じ、考え、行動することが出来ないのです。

その理由は簡単です。お母様の日常における指示が多く、こどもが、感じたり、考えたりする機会が極めて少ないからです。この様な子は、まず親がいないと、不安で伸び伸びした行動が外ではとりにくいということがあります。その様な状態のこどもは、社会性も当然伸びませんし、指示待ちの子であるので、探求心や好奇心自体も乏しいと言えるでしょう。

まず、こどもの性格を嘆く前に、お母様が変わらなければ、こどもの気持ちの持ち方は変わらないでしょう。

平成13年 1月15日 あんてな掲載